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一木造りは木の乾燥が命 2008/08/24  
 条件のよい材料を使ったとしても、ヒビの入りには最大限注意を払わなければなりません。
 昔、ダムが無かった頃は、山で木を切りますと、運搬方法は上流で筏を組んで川を下り、貯木場で合わせて半年程水に漬けて寝かせてありました。この筏流しと、貯木場での半年間が木を乾燥させ易い大切な要因だったのです。
木は地方によっては多少違いますが、大体11月〜2月位に切ります。木が水分を取らなくなる時期に切らないと水割れといって、年輪に沿ってヒビが入ってしまうからです。どんなに大きな直径のある木でも、切り時を間違えれば半滅してしまう結果となってしまいます。
 では何故木を水に漬けておくことが乾燥につながるのか!
木は地中から水分や養分を吸い上げて木の中に貯えます。そして葉からいらないものを排出します。この作業が木を切った瞬間に止まってしまいますから、木の内には閉じ込められた養分の一部が“あく”という汚い色の模様を作ってしまいます。又、木によっては独特の油分を貯蔵致します。
これらの余分な油、養分、あくといったものが半年間水に漬かっている間に新しく入ってきた水分によって押し出されていきます。新しく入ってきた水分は、陸揚げされたときに素直にゆっくりと乾燥していきます。そしてきれいな色の材木となります。

 現在では山で木を切ってトラックで直接市場に並んでしまいます。
厄介なものを木の内に閉じ込めたまま私たちの元に来ますから、木取りを進める時、或いは彫り進める段階で適当に水を打ちながら、閉じ込められたものを招き出して、時間をかけて徐々に乾燥させながら彫っていきます。
 昔は木を切ってから“10年は寝かせる”というのが通例でしたが、水にさらされていない楠は10年や20年ではあまり変化が無いように思われます。
従って木の個性に合わせて、彫り進む時のスピードと水やりが最も重要なところで、この二つを怠ると間違いなく悲惨な事になります。結論は大きくなればなる程、彫る段階で自然乾燥させる時間をたっぷり持つ事が一番大事なのです。
 また、彫り上がった一木造りの佛像は、特に数年間は太陽光、風、エアコンの近く、温度、湿度に最新の注意を払わねばなりません。以上のことを重んずれば、1000年の時を美しい姿のまま、私達に、感動と癒しを放ち続けることでしょう。
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