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佛師になるきっかけ | 2008/08/22 | |
私がこの世界に入りましたきっかけを少し、お話させていただきます。 日本の高度成長が著しく発展をはじめた昭和30年後半頃から盛んに有名寺や仏像が、 テレビや雑誌などで紹介されていました。何度か見ているうちに佛像の持つ未知なる魅力に、自分の心がだんだんと惹かれていくのが分かりました。 そのころ、私は自営業を営んでおり、好景気の中、順調に収益を伸ばしていましたが、何かむなしく、特に佛像を目にしてからは、お金がもうかればもうかるほど心のむなしさが広がり、一番初めに雇った人にすべての仕事を譲り、自分は裸一貫、車に着替えだけを積み込み、一生の仕事を見つけるための旅に出ました。 歌の文句によくあるように「北へ行こう」と単純に思い、一気に北海道に渡り約3ヶ月間、いくつかの仕事を経験しました。捕鯨船に乗せていただいたり、大工・板前さんの見習いをしたりと。しかし所詮、懐に割とまとまったお金を持っての旅ですから、どの職場でも仕事を終えた後、先輩たちを誘って飲みに行き、その代金を支払う... こんなばかげた、怠慢な姿勢で一生の仕事が見つかるわけがありません。 次の仕事との出会いを期待し、また車で北海道を半分観光気分で走らせていました。そんな時、旭川市の大きな仏壇店の前を通った時に足が釘付けになり、動くことができませんでした。 店頭にブロンズでできた等身大の興隆寺の弥勒菩薩を見たからです。「あっ、これだ」。ぼんやりしていた物に鮮明にピントが合った感じでした。店の主人から色々と佛像について、佛師について話を伺っているうちに、「この道が俺の一生の仕事だ」と強く決心を固めた瞬間となりました。 |
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